恒常的に放射線を浴びてるって言うけど…
行政が原発関連の情報を発信する際に、必ず引き合いに出すのが「自然放射線」のお話。
下記の様な図はここ数カ月で大変に有名になりましたが、人が自然界から年間に浴びている放射線の量を表すものです。
独立行政法人 放射線医学総合研究所ウェブサイトより転載
要はこの資料は「そもそも人は恒常的に放射線を浴びているのだから、今更騒ぐまでもない」といった事を伝える為に作られたものです。
テレビなどのメディアで良く使われるのが「レントゲン一回分の放射線量」とか「CTスキャン一回分」とか言った表現。
「今回の被ばく量は、毎年行っている健康診断のレントゲン一回分程度でしかありません」と言った形で使われます。
こういった情報を流す目的は、見えないものに対する不安、恐怖心を抑えるために、比較対象を掲載する事で、人々をパニックや不安に陥らせる事を未然に防ごうとしているのでしょう。
確かに、上記の情報伝達手法においては、パニックを防ぐ役割はある程度は担えるかもしれません。
しかし、多くの人の不安を継続的に押さえる為には、情報を“正しく伝える”事が大切なのです。
例えば、上記の公開されている資料にはいくつかの問題があり、
- たとえ微量であったとしても全ての放射線は身体に害を与えるものであること
- 自然に存在する放射線には、生物の長い期間を経た進化過程でそれへの対処法が出来ているが、人工的に作られた放射線には対処できないこと
- レントゲン撮影やCTスキャンは全て外部被ばくでしかなく、内部被ばくについては全く別モノとして考える必要があること
- レントゲン撮影やCTスキャンにも確実に“リスクが存在する”が、病気を見つける事のメリットがそのデメリットを上回る(と言われている)こと
- 判断する為に、公正な基準値を公表すること
これらを伝えずに「ただ大丈夫」と言われても、物事を自分で分析し、判断出来る“大人”たちは、安心する事は出来ないのです。
確かに人は、普通に生活をしていても放射線を浴びています。
それは事実ですが、その事実を正しく伝える為には、それに附帯する情報をも正しく伝える必要があるはずです。
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