原発は発電コストが一番安いって本当?
先に回答しますと間違いなく「いいえ」です。
以下、その説明です。
右の表を見て下さい。
政府や電力会社が「原発は低コスト」である事をアピールする際に良く使われる資料です。
これは1時間辺りに1kWを発電するのに掛かる費用ですが、原子力は5.3円で火力は5.7円~10.7円で確かに原子力は安価に見えます。
実際には、法定耐用年数(発電施設の利用に耐えうる期間)を無視した数値ですので、それを考慮(耐用年数は16年)した原子力7.3円、火力7.2円~12.2円というのが現実的な数値なのでしょうか。
どちらにせよ、原子力発電は低コストであるかの様に見えます。
それでは、こちらの表を見て下さい。
先ほどの表が“広報用の理想的なモデルプラン”なのに対して、こちらは“実際に東電が”原発の設置許可申請書に記載した発電原価となります。
表1と基準は同じ(耐用年数は16年)なのですが、一番安い原発でも10.32円、高いものでは19.71円も必要なので、先ほどの火力7.2円~12.2円に比べるとコスト高となっており、モデルプランと比べると逆転してしまっているのが分かります。
他にも原発の場合、(危険が故に)実際に利用される都市部には設営する事が出来ず、遠距離にある為、送電費用が馬鹿になりません。
また、バックエンド費用と呼ばれる廃炉費用や核燃料の再処理費用などは最低限しか見積もられておらず、ひとたび、先日の福島第一原発の様な事故が起きると想定外となる国家予算規模の莫大な費用が必要になります。
原発を設置する地元への献金、テレビや新聞など各種メディアや政治家への献金、大学の研究費用など諸々を入れると、上記の試算値など話にならない大きなコストが掛かかる事になる訳です。
では、電力会社は“なぜ”「原発は発電コストが掛からない」と言うのでしょうか?
その回答はある意味簡単です。
「原発で発電した電力が一番高く売れる」からです。
電力会社は一般的な企業間の様な競争がない為、電気の販売価格は国が決めたルールに沿って決められます。
そのルールが、
“電力施設の資産価値が高ければ高いほど、その施設で作った電気は高く売れる”
というもの。
要は、電力施設にお金を掛ければ掛けるほどに、電力会社は儲かるという仕組になっているのです。
原発は、設営に莫大な費用が掛ります。
だから、原発で発電した電力を高く売っても構わないと国が保証しているのです。
そして、想像通り、私たちは、その一番高く売られている電力を購入するしかありません。
日本の電気代は、主要国でも一番高いと言われています。
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